昨日、へんな生きもの研究所の水槽の見回り中に胸騒ぎが…。見つけたのはポツンと出現した小さなイソギンチャク。これって、あいつに似ているような…。
あいつとは…
解説しよう!それは、同じく鳥羽水族館の水槽内で見つかり、今年3月に新種記載されたイソギンチャク、ゲンシカイキ Neotenactis amateras のこと。
こちらが本物のゲンシカイキ
ゲンシカイキは、これまで世界で2属2種しか知られていないムカシギンチャクの仲間で、このグループとしては実に約130年ぶりの新種、しかも新属、さらに北西太平洋での初記録ということで話題になりました。ムカシギンチャクの仲間は、イソギンチャクの幼生に似た非常に単純な体のつくりをしていることから祖先形だと考えられてきましたが、近年の研究では二次的に単純化したという説が有力になっています。
さらにゲンシカイキは、「普通のイソギンチャク」と「ムカシギンチャク科」の中間的な形質を残した種であることが明らかになり、原始の形態へ回帰途中のようだ、ということでこの和名が付けられました。
今回見かけたイソギンチャクが本当にゲンシカイキなのか、もう少し観察する必要がありますが、学名(amateras)が伊勢神宮内宮にお祀りされている天照大御神に由来するため、正月らしい話題として紹介してみました。
となりの水槽にはカガミモチウニもいますしね。
【飼育研究部 森滝丈也】






