今回の飼育日記もオウムガイの話題です。
オウムガイはイカやタコと同じ頭足類の一員なので、水を吹き出す漏斗(ろうと)を持っています。先日の給餌の際、漏斗から水を吹き出す様子がが良い感じに撮影できたので紹介します。後ほど公式Xで公開予定です。
今回、撮影時に水を吹き出す様子がわかりやすくなるよう、オウムガイを水面から少し持ち上げましたが、短時間であれば海水から出しても差し障りはないのでご安心下さい。
さて、皆さんはよくご存じだと思いますが、この漏斗は頭足類に特有の器官です。胴体に吸い込んだ海水を勢いよく吹き出して推進力(ジェット推進)を生みだします。
それではここで前知識をひとつ。イカやタコの仲間では漏斗は完全な筒状ですが、原始的なオウムガイだと外套膜が丸まっただけです(クレープのよう?)
ご覧の通り、筒状にはなっていません。
あと、イカやタコではスミ(墨)を吹くときにも漏斗を使いますが、墨袋を持たないオウムガイの仲間は移動の為だけにしか使いません。
漏斗は自由自在に向きを変えられるので、これを使えばオウムガイは上下左右、自由自在に遊泳できるという訳です。
マニアックな話題をもうひとつ。実はこの漏斗の内側は水の流れが強いために溶存酸素が多いようで、ちょっと珍しいコペポーダ(カイアシ類)Anchicaligus nautili が好んで寄生する場所でもあります。
メスの姿。
【飼育研究部 森滝丈也】