オオグソクムシの仲間(Bathynomus属)は世界中の深海から20種ほど報告されていますが、先日、台湾と日本、オーストラリアの研究チームが“オオグソクムシ属の新種を発見した”という論文が出版されました。
この“発見”の経緯が興味深かったので紹介します。
2019年に台湾の南方で採集された大型のオオグソクムシ属の種を調べようと、台湾の研究者が日本の水族館(新江の島水族館)から2個体のダイオウグソクムシの標本を取り寄せたところ、何と、そのうちの1個体がこれまでに知られていない種類(新種)だった、ということです。
標本から新種だと判明したこの個体は、2017年にユカタン半島沖メキシコ湾で採集され、水族館で飼育されていたオス(全長26cm)で、学名はBathynomus yucatanensis(和名エノスイグソクムシ)となりました(台湾で見つかった方はB. jamesiで、新種ではなかったそうです)
実は、国内のダイオウグソクムシの入手ルートは同じなので、当館でも“新種”が混じっていなかったかと過去データを見返してみました。
すると、2019年に入手した個体(№30:画像右)がこのB. yucatanensisの特徴と一致しているような…
当時からかなり違和感のある体型だと思っていましたが、もしかしたらこの個体も…
標本は保管してあるので、今後きちんと調べてみる予定です。
【飼育研究部 森滝丈也】