熊野灘の深海に生息するカガミモチウニ(かわいい!)
本種は2020年まで学名しかなく(Prionechinus forbesianus)、標準和名が提唱されていなかったため海洋生物取り扱い業者などでは「ピンクウニ」の名称で販売されていました。
ところが、このピンクウニの名称はお土産屋などで見かけるナガウニ属の一種の殻でも使われていたので、名称に混同が生じていました。
そこで、水族館で明らかになった生態を基に、熊野灘のウニにカガミモチウニの和名を提唱したわけです。
さて。
先日、海水生物の取り扱い業者から、殻径20㎜程のウニを輸入したが、カガミモチウニでしょうか?と問い合わせを受けました。
カガミモチウニだったら嬉しい!でも、産地はスリランカの浅海らしいので、残念ながら別種でしょう。でも、画像を見る限りよく似た姿…。
そこで正体を明らかにするべく、5個体を購入しました。
ちなみに問い合わせのあった業者とは別ルートで入手したのですが、そこでは「ピンクウニ」の名で販売されていました。…またしても。
結果、裸殻も見ないと断定できませんが、どうやら今回のウニはラッパウニ科、マメラッパの近似種 Nudechinus rubripunctatusのようです。いや~すっきりしました。
ちなみに、本種は海外のウニなので和名はありませんが、学名は「赤紋マメラッパ」といった意味になりますね。
【飼育研究部 森滝丈也】