ヒトデスイクチムシの仲間は、地中海とアメリカ西海岸、それと日本の熊野灘から見つかった3種、計5種類だけからなる小さなグループです。単純な円盤状の姿、これでゴカイと同じ仲間(多毛類)とは驚きです。
個人的に好きな(興味深い)生きものの一つですが、多くの人にとってはそうでもないらしく、話題にすら上がりません。
彼らの研究は進んでおらず、生態はわからないことばかり。
ヒトデの消化器や体腔内で生活していますが、積極的にヒトデの組織を食べる厄介者というわけではなさそうです。
果たしてヒトデの体の中でどんな生活を送っているのか…気になります。
さて、先日、深海のヒトデ(Anthenoides epixanthus 和名なし) からヒトデスイクチムシの一種を見つけました(未記載種かも)
腹側から見るとこんな姿(幅13㎜ほど)
ひとまず、シャーレ内で飼育して行動を観察すると、3日連続で産卵しました。同時に3日連続で排便?も。
糞便と思われるものはサツマイモのような長さ1.4㎜ほどの黄色い塊でした。
こういったものを見るのは初めてです。
何を食べているのかわかるかもしれないと、糞便を顕微鏡で拡大してみましたが、何やら顆粒状の細胞?の塊…
結局、これの正体はわかりませんでしたが、少しづつでもこのような情報が蓄積していけば、ヒトデスイクチムシの生態を知る糸口になるのではないかと考えています。
【飼育研究部 森滝丈也】