クロホシイシモチなどネンブツダイの仲間は、オスが口の中で卵を孵化まで保護する「口内保育」の習性があります。伊勢志摩の海ソーン入ってすぐの水槽でも、ペアになったクロホシイシモチを時々見かけます。
卵で口の中がいっぱいの個体がオス。傍に寄り添うのがメス。ずいぶん仲睦まじい姿に見えますね。
ところが、実情はそうでもないらしく…。実は、口内保育している間にオスはこっそりと口の中の卵を食べてしまうことがあるらしく、メスは卵を食べられないようにオスをしっかりと監視しているそうなのです。
また、他のメスが産んだ卵を保護しているオスに近づいて、孵化直後に今度は自分の卵を守ってもらおうと目論んでいるパターンもあるそうです。
いずれにしても、しっかりと自分の遺伝子を残そうとするメスのしたたかな生存戦略の姿なのですね。
【飼育研究部 森滝丈也】