こう見えてカンムリヒトデスイクチムシはゴカイの仲間です(2015年に熊野灘の深海で採集して、2017年に新種記載されました)。
カンムリヒトデの胃の中で生活していますが、ヒトデに対して特に悪さをするわけではないので、寄生と言うよりも共生と言った方が適当かもしれません。
底曳き網でスイクチムシが採れると、水槽にいるカンムリヒトデに近づけて、スイクチムシがヒトデにどのように寄生するのか行動観察をしています。これまでに4回、ヒトデにスイクチムシを取り込ませています(2018年9月、12月、2019年3月、2020年3月)。スイクチムシはヒトデの胃から取り出すと数日の内に死んでしまいますが、胃の中では長く生存できるようです。
先日、ヒトデが周口膜を広げていたので、胃の中がよく見えました。見ると、スイクチムシは少なくとも3匹は確認できました。
ということは、少なくともスイクチムシは2年間はヒトデの胃の中で生存可能ということになりますね。消化力の強い胃の中でなぜ生存可能なのか、興味があります。
【飼育研究部 森滝丈也】