2013年から沖合底引き網漁船に乗せていただき、熊野灘にどのような生物が分布しているか調査しています。
底引き網で獲れた漁獲物の中から目当てのものを探していきますが、どんどん仕分けしていく漁師さんの隙間を縫っての採集なので、時間との勝負。同時に珍しそうな生物や目当ての生物を瞬時に見つける眼力が必要です。
こちらは一人で乗ることが多いので、できるだけ見落とさないように目を光らせます(笑)
そんな沖合底引き網採集で、今回は調査開始以来、初めてとなるヒトデ2種が採集できました。
その一つがこちらのミナミゴカクヒトデ Paragonaster ctenipes
もう一方のヒトデは種名がわからなかったので、いつもお世話になっているヒトデの研究者さんに問い合わせたところ、Astromesites compactus (和名なし)のようだとの返答をいただきました。
ニュージーランド、オーストラリア、フィリピン等の陸棚から上部漸深海域よりわずかに知られるヒトデだそうです。
現在、こちらも予備水槽に収容し、様子を見つつ情報を集めています。
この生物調査は地道な作業ですが、熊野灘の生物の多様性を知ることができる貴重な機会だと感じています。
【飼育研究部 森滝丈也】