前回の続き…
今年の7月から週に1回ほど、ダイオウグソクムシ水槽からアパート水槽へ冷えた人工海水を補給しているとお伝えしましたが、補給し始めた直後からアパート水槽で飼育中のカイメンの成長にはっきりとした変化が現れはじめました。
これまでに何度か紹介していますが、このカイメンは2016年の春に熊野灘の水深250-300mで採集されたもので、水族館向かいの菅島にある名古屋大学の臨海実験所所属のカイメンの研究者さんに調べていただいて、ジクネカイメン属の一種(Rhizaxinella sp)であると判明しています(種類は特定できていません)
日本から知られている他の種類はこのような枝分かれはしていないそうなので、まだ知られていない種類である可能性もありそうです。
ご覧のように、入館直後は柔らかなベルベットのような質感でしたが、日を追うごとに徐々に痩せてきて、いつしかツルッとした質感になっていきました。
去年の冬に一時的に状態は良くなったものの、再び痩せ始め、今年の春先はこのまま死んでしまうのではないかと思うほどでした。
それが、ダイオウグソクムシの飼育水を補給し始めた直後から、徐々に復活しはじめたのです。
さらに3週間経過…
それまでのツルッとした印象からベルベットのような柔らかな表面へと変化し、矢印で示したような大孔も形成されてきました。
何がこの変化を引き起こしたのか、まだはっきりしませんが(人工海水の成分?水温差?)確実に成長を続けています。
ジクネカイメンの成長はゆっくりですが確実に目に見えて姿が変化するので、毎日の観察が楽しい!
ぜひ注目して下さい。
そして、成長観察と並行して、近いうちにこのカイメンの種類も特定しなければいけませんね。
未知のカイメンかもしれないと思うと、興奮します(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】