先月末、いつもお世話になっている地元の業者さんから熊野灘の深海性タコがやってきました。
店の水槽で既に1ヶ月以上飼育していたそうです。
深海性のタコにしては安定した飼育状況だったので、あのタコか?と思っていたら…やはりこのタコでした(笑)
まだまだ小さなサイズですが(このカゴの穴の幅は9mm)私がアカトラ(仮)と呼んでいる種類不明のタコです。
鳥羽では2013年の入館が初記録。
2013年から2015年の3年間はきっちり1個体/年の割合で入館していましたが、去年-今年にかけては1年間で既に3個体です(底引き網漁によく出掛けたからだと思います)
それほど珍しい種類というわけでもなさそうです。
現在、予備水槽では去年の3月に採集した大きなアカトラ3号も飼育中です。これは私が熊野灘の水深300mで採集したもの。
入館時はこの3号も5号と同じように小さくて幼い顔つきしていたんですけどね(下画像)最近はかなり激しい性格に…(笑)
攻撃的ではあるけれど、頭が良い印象もあります。
個人的にとても好きな種類のタコなので、今は2匹同時飼育できることにワクワクです(笑)
今後の成長が楽しみです。
このアカトラ(仮)は、赤褐色の体色に白い縦じま、ネコ耳のような眼上突起、腕の間の傘膜が広いことなどが特徴ですが、調べた限り(少なくとも日本では)正式な報告がない種類のタコようです。底引き網漁ではツノモチダコと一緒に採集されて、区別されず食用になっているようです。
こちら(下画像)の№4もツノモチダコに混獲されたものでした。
全長65cmと結構大きなサイズのメスでしたが、解剖してみるとまだ性成熟には達していませんでした。
もっと大きくなるようです。
また、解剖した大学の先生の話では南方系のタコの特徴がある…との話でした。
さて、このタコの正体がわかるのはいつになるのか…
今後も解明するためにデータを集めていきます。
【飼育研究部 森滝丈也】