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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

寄生率40%超とほぼ1%

死亡したユミヘリゴカクヒトデからまたまたシダムシの仲間を見つけました。

去年の10月にこのシダムシを初確認してこれで8例目。

ヒトデのパラサイトであるシダムシ(甲殻類です…しつこく書き込んでいるのでもうご存知でしょう)

浅海のヒトデを中心に日本では7種類が知られていますが、深海性のユミヘリゴカクヒトデからは見つかっていませんでした。

ところが、いったん見つけると、これまで知られていなかったのが不思議なほど、見つかる見つかる…

 

去年の10月以降に採集したユミヘリゴカクヒトデ19個体のうち寄生されていたのは8個体。

実に42%の寄生率。

寄生率はかなり高そうです(ここでは仮にこれを「シダムシa」と称しておきます)

一方、こちら↓↓は先日紹介したウデナガゴカクヒトデから見つかったシダムシ。

(ウデナガゴカクヒトデの方もこれまでにシダムシの寄生の報告はありません)こちらは仮に「シダムシb」と称しておきます。

ユミヘリゴカクヒトデとウデナガゴカクヒトデは同じ属(Mediaster属)のヒトデで、ほぼ同じ海域・水深に生息しています。

ところが、「シダムシa」の40%超の寄生率に対して、「シダムシb」の寄生率は現時点でわずか1.2%!(ヒトデ82個体のうち寄生はこの1例のみ…)

近縁なのにこの寄生率の差は?非常に興味深い。

ちなみに、シダムシは宿主特異性が高く、シダムシとヒトデの組み合わせは決まっていると考えられています。

 

寄生率の差についていくつか仮説が立てられます。

例えば…

・実は、「シダムシb」は元々個体数が少ない…のかも

・実は、「シダムシa」「シダムシb」は同じ種類で本来ユミヘリゴカクヒトデの寄生するものが間違えてウデナガゴカクヒトデに寄生していただけ…なのかも

まぁ、その他にも色々推測できますが、もうしばらく調査を続けていく必要がありそうです。

【飼育研究部 森滝丈也】

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