先月29日に南伊勢町沖、水深200mで採集されたツノモチダコをへんな生きもの研究所で展示していました。
ツノモチダコは目の上に大小2本の突起があることからその名が付いたようですが、この個体はいつも突起を長く伸ばしていましたね。
健康状態が良かったようです。
水槽に搬入してから1週間。
ずっと状態良かったのですが、餌は食べていませんでした。
先日の金曜日。入館後2回目の餌を与えてみました。
1回目とは打って変わり、餌のムキアサリとキビナゴにすっと腕を伸ばしてきて自発的に受け取るじゃないですか!
この日の午後には、先日ツノモチダコの解剖(ニハイチュウの調査)をおこなった研究者からひとまずの観察結果についてメールが届いていました。
それに加えて、ツノモチダコに関して興味深い指摘(実験依頼)もありました。これに関しては生態観察が必要。
水族館の得意分野です。
メールを読みながら、こんなに状態が良けりゃ、生態観察もうまくいき新知見も得られるかもしれないな…と浮かれていたのですが。
その日の夜は宿直でした。
夜の見回りで水槽をのぞくと…あれ?ツノモチダコが倒れています。
昼間の元気な様子を目の当たりにしていただけに、状況が呑み込めず、もしかして夜間はこんな風に「爆睡」するものなのかもしれない…と思ってしまいました。
朝になると目覚めるかもしれない…そんな淡い期待を込めつつ、そのまま放置してみましたが…
翌朝も倒れたまま…やはり死んでいました。
ひとまず解剖して確認しましたが、突然死した原因はわかりませんでした。
素嚢(そのう)は餌で満たされていて、胃にも少量餌が送られていました。
※素嚢…消化に先立って餌を一時的に貯蔵しておくための器官。
餌が原因だったのか?食べすぎたのか?餌の種類が合わなかったのか?
とりあえず備忘録として記録しておきます。今回は残念な結果でしたが、経験の積み重ねがいつの日か良い結果につながるように。
【飼育研究部 森滝丈也】