岩手県釜石に住む鳥羽水族館の飼育日記ファンの方から今年もサンマを頂きました。
この方は毎年毎年季節になるとサンマを送ってくださり(震災前は私の好物のホヤも)もう、10年以上のお付き合いになります。
ありがたいことです。
こういうファンの人に支えられているんだなぁと感謝しつつ、サンマを飼育スタッフに配りました。
そのサンマ、たかむらさんが自分の分をスチロール箱から取り出そうとして表面の異物に気がつきました。
何気なく引き抜いてすぐに、あ、これって寄生虫…!?と。
その声を聞いてすっ飛んでいくと(笑)
おぉ!やはりサンマヒジキムシです!
サンマヒジキムシは約7 cmの大きさの寄生虫。
こんな姿をしていますがエビやカニと同じ節足動物の仲間です(カイアシ亜綱、ペンネラ科)
サンマに寄生するのはメスの成虫のみで、頭部を体表に埋没させています。
でも、残念。
サンマの体内に頭部を残したまま引き抜いてしまっているじゃないですかぁ…ガックリ。
あらためて調べなおしてみると…サンマヒジキムシは1981年に北太平洋のサンマに突如出現して世に知られるようになったそうです。
1983年にはサンマへの寄生率が約33%にも達したそうですが、その後、個体数は激減して1986年には全く見られなくなったそうです。
ところが2012年には約30年ぶりの大発生。この時は水産庁からも注意喚起の文書がでたほどです。
今回のケースは今後サンマヒジキムシの個体数が増えていく兆候なのか、今の時点ではなんとも言えませんが、とりあえず貴重な標本として保存しておきました。
ちなみにヒトには寄生しないので無害ですよ。寄生されたサンマも問題なく食べることができます。
もちろん、今回頂いたサンマは、たいへんおいしく頂きました!塩焼きで!
私みたいなへんな生きもの好きにとってはサンマもサンマヒジキムシもどちらも嬉しい贈り物なのです(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】