寄生性コペポーダ類であるウオジラミの仲間(節足動物門、甲殻綱、カイアシ亜鋼、カリグス科)の話題です。
例えば、こちらは黄金スズキ(体色変異)に寄生したウオジラミの仲間。
眼の後ろにメス4匹がたなびいています(笑)あ、眼の表面にもオス?が1匹、メスの近くにも1匹いますね。
こちらはマンボウの体表に寄生していたウオジラミの仲間(標本)。こいつは卵嚢の先端まで含めると2㎝ほどの大きさ。
これらウオジラミの仲間は魚類に寄生して体液を吸うので、水族館では基本的に駆除の対象になっています。
さて。
前回の飼育日記でお伝えしたオウムガイの寄生虫Anchicaligus nautiliの続きです。
実は、こいつらもウオジラミの仲間ですが、再記載論文をざっと読んでみたところ、他種とは違うなかなかユニークな種類のようです。
ウオジラミの仲間(カリグス科)のほとんどは浅海を泳ぐ魚類に寄生するのに対し、このAnchicaligus nautiliだけは深海性の、それも軟体動物に寄生するのです。
かなり独特な生態。
また、形態も特徴的でウオジラミの中で唯一、背面に眼(レンズ)を持つ種類でもあるそうです(矢印)
光を感知する機能は何か生態的な意味があるのでしょうね。なかなか興味深い。
ユニークなオウムガイに寄生するAnchicaligus nautiliもまた、へんなやつだった、というお話でした。
【飼育研究部 森滝丈也】