昨日、へんな生きもの研究所「アパート水槽」の一画にあるイイジマフクロウニ水槽を見ていて、ガラスを這う珍生物の存在に気がつきました。
体長5、6ミリほど。
この画像では頭を下側に向けています。
結構なスピードで滑るようにガラスを這っていきます。
実は、コイツを見るのは2回目。
9月に別の水槽でも見かけたことがあるのです。 その時はたぶん採集した岩に付着していたんじゃないかと思うのですが、結局正体が突き止められないまま行方知れずになったので、今回は調査のためにサンプリングしました。
動きと形からすると、ヒラムシ(扁形動物)か、ヒモムシ(紐形動物)あたりの仲間でしょうか…
あるいはウミウシ?
しばらく生きた状態で観察するつもりでしたが、今朝見ると…何と、死んでいました(ショック)
打ちひしがれて、へんな生きもの研究所の見回りに行くと…
おおっ!9月に遭遇した時と同じ水槽にまたコイツがいたじゃあ~りませんか!
もう再会することはないと思っていたのに。
よく見るとなかなかカワイイ。
体長5、6ミリと小さい割に動きが速く、画像のピントがやや甘くなってしまったことはご容赦下さい。
少し頭部をもたげると丸い口が見えます(ソフトフォーカスですが)
カワイイ…
でも、コイツの正体は何なんだろう…
ちなみに、こちらが昨年の9月に見つけたときの画像↓
同じ水槽なので同一個体かもしれませんが、ちょっと体色が違うような気もします。
一見、ウミウシにも見えます。
で、先ほど、推理しつつ検索していたら正体が判明しました!
じゃん!Hofstenia(ホフステニア)の仲間でした。
…あ、ホフステニアってのはですね、無腸動物類のホフステニア科、Hofstenia属の動物のことです。
ちなみにこのHofstenia sp.が属する無腸動物は、以前はプラナリアなどと同じ扁形動物に属していたのですが、分類が見直されて扁形動物から独立することになって無腸動物門というグループになりました。
その後、色々あって、最終的に最近、類縁関係がはっきりしない謎の生物、珍渦虫(チンウズムシ)と関係が深いということが判明して、珍渦虫と無腸類の二枚看板からなる(意味違うか)「珍無腸動物門」というグループが新設されることになり、ここに所属することになった動物です。(ハイ、ここ試験に出ます…嘘)
とりあえず小さいですし、ラベルなしでしばらく飼育?展示?を続けますので、運が良ければ見られるかもしれません。
へんな生きもの研究所「ドロイシガニ」の水槽内です。
【飼育研究部 森滝丈也】