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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

ダイオウグソクムシ漬け

ダイオウグソクムシ№1が思わぬ形で話題になって私も困惑しています。

 

昨日もテレビと新聞の取材がありました。

作業の合間にお客様から頂いた質問・ご意見に返信し、何か解決の策はないかとダイオウグソクムシの論文を探して読み…

そして、帰宅すると、今はやりのゲームに夢中になっている娘が開口一番「ダイオウグソクムシ捕まえたよ~!!」と…(苦笑)

やれやれです。

 

でも、改めて深くダイオウグソクムシに向かい合うことになったおかげで、色々な気付きがあり勉強になっています。

 

例えば、ある論文ではメキシコ湾(ユカタン半島)のオスでは体長29cmを境に性成熟個体とそうでないものとが分かれるとの記述がありました(メスはもう少し小さいサイズで成熟します)。

 

性成熟すると、オスは第2腹肢内側に「交尾針」ができるので外観で判別できます。

以前、当館で飼育していた№4は水族館で見られる個体としてはかなり大きく、体長35cmもありました。

矢印で示したものが交尾針です。

立派な成熟オスでした。

 

そして、№2と№3は体長27㎝ほど、現在飼育中の№5は体長25㎝でいちばん小柄、どれも皆、未成熟オスです(市場に出回る個体のほとんどが25-28㎝クラスらしいです)。

ちなみに、現在、日本の水族館で見られるのはオスがほとんど(あるいは全てオスかも)で、鳥羽で飼育した5個体も全てオスです。

 

そして、拒食中の№1ですが…これが体長29㎝なんですよねぇ~。

交尾針は持っていないのでやはり未成熟オスのようですが。

入館当時の№1の腹肢付近。

 

でも体長29㎝と言えば、論文によれば成熟ギリギリの体サイズですよね。

もしかしたら、性成熟する過程の生理的な変化で拒食しているんじゃないか…そんな可能性も少し感じています。

 

もちろん、ダイオウグソクムシは甲殻類なので脱皮しないと成長できません。

入館以来、どの個体も水槽内で脱皮はしていないので(多分どこの水族館でも脱皮はしていないと思います)水槽内で脱皮・成長させないと事態は打開できないかも…(有効な手段があるわけではないですが)などとも、つらつらと考えたりしています。

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