外部サイト移動へのご注意

予約・購入サイト「Webket」に移動します。
よろしいですか?
いいえ

鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

磯観察に行きました

昨日は水族館近くの磯で「ひとり磯観察会」(笑)を決行してきました。

オフに潮位が合えば、時々こんな感じでひとりで磯に出没するのですが、誰もいない磯で、岩をめくって、なめるように観察する姿…かな~り怪しい光景だと思います(笑)。

この磯は生物相が豊かで、私にとってかなり楽しい場所なのです。

今回、見つけた中で面白いものは、例えばこれ→

(ウンコじゃありませんよ~)

ま、それほど珍しい種類ではありませんが、紐形動物というあまり馴染みのない動物群の一員である「ミドリヒモムシ」。

驚いたのは、見つけた時、何やらオレンジ色のものが見えていたからです(矢印)。

手に取ると、オレンジ色のものはドロリとミドリヒモムシから抜け落ちてきました。よくよく見ればそれはマダラウミウシ。ほとんど消化されていました。

何と、ミドリヒモムシはマダラウミウシを食べているのですね~。

ヒモムシが肉食性だとは知っていましたけど(おそらく飼育下では魚肉なども食べるでしょう)本来の食性を知れば、飼育の大きなヒントになります。いつか水槽でもうまく飼育できれば、と思います。

次に紹介するのは、私の好きなウミグモ!

先月も見つけたのですが、採集場所では種類が判らず…

(何せ、サイズが小さい。体長1㎜、脚を伸ばしても8㎜ほど)

もう一度見つけて種名を明らかにしよう、これが今回の磯観察の第一目的だったわけです。

無事に発見できたので、採集して顕微鏡で観察してみました。

おぉ!どうやらヒョットコフトウミグモのようです。吻が「ひょっとこ」のように細長く突き出ているのが大きな特徴。実物は初めて見ましたが、なかなかがっしりとした体型で少し男性的?なウミグモですね。細かな毛がはえる姿がどこかクマっぽくもあり…(笑)

裏返してみると、腹側に4つの卵塊を抱えたオス(ウミグモはオスが卵を抱えます)でした。卵は発生が進んでいましたが、残念ながら親がすでに弱っていたのでアルコールで固定して標本にしました。

そんなこんなで潮が満ちてきたら観察は終了。2時間くらいはあっという間に経過です。

今回確認したのはざっと名前を挙げると…・ダイダイイソカイメン・クロイソカイメン・ナミイソカイメン・ミズクラゲ・ヨロイソギンチャク・タテジマイソギンチャク・シオガマサンゴ・モヨウマルヒラムシ・ミドリヒモムシ・ハナザラコケムシ・ウスヒザラガイ・ケムシヒザラガイ・ババガセ・オオヘビガイ・マツバガイ・オトメガサガイ・マダラウミウシ・シロウミウシ・アカムシ・サンハチウロコムシ・ケヤリムシ・ヒョットコフトウミグモ・カメノテ・フルイヒラフジツボ・クロフジツボ・イソヘラムシ・イソカニダマシ・ショウジンガニ・ヘリシロハンミョウ・トゲバネウミシダ・シロウスボヤ・ムラサキウニ・ヒメヒトデの仲間・イトマキヒトデ・ヌノメイトマキヒトデ・ヤツデヒトデ・ナガトゲクモヒトデ・ニホンクモヒトデ・バフンウニ・イシコ・ 樹手目ナマコの仲間(Ocnus sp.)・マナマコ・イタボヤ・ボウズボヤ・ムネボヤ・ウバウオ・イソハゼ・ナベカ・ハオコゼ・ミドリフグ(順不同)

いやぁ、それにしても磯観察は面白いですねぇ~。心が解放されます。

こうして、フィールドで得た刺激・知識は、次の飼育・展示に生かされていくのです(たぶん)。

Share