当館は愛知県の竹島水族館さんと定期的な生物交換をおこなっていて、深海生物(主にタカアシガニ)を頂いています。
先日やって来たのは、大量のオオグソクムシ。ご存知、体長10cmほどの日本最大のダンゴムシの仲間ですね。
今回は100匹近くいました。
私は個人的にこの仲間がとても好きなので、予備水槽を見回る時はついつい1個体づつ取り上げて愛でてしまうわけです。
餌を食べて腹がパンパンになっているなぁ…とか、こいつはオスだな、メスだなと雌雄判別をしたり、口から吐き出す生臭い液の匂いを嗅いでみたりだとか…
今朝もいつものようにオオグソクムシを手に取ったのですが、驚きました!14本の脚の間、半透明のベールを透して目に飛び込んできたのは黄金色の何か!
「か、観音様じゃ~!」
…いや、違いますね(笑)
それは卵。これは抱卵中のメスだったのですよ。実は、抱卵メスを見るのは今回初めてで、ずっと見たいと思っていたのです。
オオグソクムシのメスは第1~5脚の付け根に「覆卵葉」という小さな突起を持ちます。
成熟してオスと交尾をして脱皮すると、この覆卵葉は大きく伸長して腹全体を覆います。
そして、メスは腹と覆卵葉の間に卵を産み、卵が孵化するまでここで保護するのです。
覆卵葉越しに卵を数えてみると14個ほどあるでしょうか?卵径は意外と大きく5~7㎜ほどありそうです。
同じ仲間のダンゴムシ(オカダンゴムシ)などと比べるとずいぶん数が少ないようです。
いや~今からチビグソクの誕生が楽しみ!無事に誕生すれば鳥羽水族館初記録になるわけですしね。
ひとつ気になるのは、今回、交尾と産卵がどのタイミングであったか?ということ。産卵後間もない印象ですが、鳥羽に来てから産卵したのでしょうか。
ちなみに、ついでに他のオオグソクムシ100個体ほどをチェックしてみましたが、抱卵していたのはこの個体だけでした。いつも思うのですが、グソクネタは人気ありますよねぇ。ツイッターでもリツイート数がダントツです。ありがたいことです。