先日、オウムガイの歯舌を紹介しましたが、私はパーツマニアなのでこんな歯舌などを見ると萌えますね(笑)
と、ここで歯舌の説明を。
貝類をはじめとする軟体動物の口の中には「やすり」のような歯舌があります。歯舌はリボン状の膜の上に「歯」が規則正しく並んだ構造で、前後に動かすことで餌を細かく削り取ります。
パラオオウムガイの歯舌
先月、国立科学博物館で開催された学芸員研修に参加したのですが、そこで何種類か貝類の解剖実習を体験しました。
歯舌ももちろん観察しましたよ。
こちらはエゾバイの歯舌
こちらは磯でよく見かけるヒザラガイの歯舌。
ヒザラガイの歯舌は特徴的で、表面に磁鉄鉱が沈着します(黒い部分)。岩の表面を削り取るため、摩耗しないよう硬くコーティングしているのでしょう。
知識としては知っていましたが、これは磁鉄鉱なので磁石を近づけるとくっ付きます!
生物のからだの一部が磁石に付くとは…何とも不思議な感覚。
機会があれば皆さんにも体験してもらいたいのですが、喉の奥にあるため、残念ながら生きている時はほぼほぼ観察できません。水族館で観察することは難しいかなぁ。
例えば、先日入館したクリオネも貝類なので、歯舌はありますが、生きている時は見えません。
バッカルコーンを伸ばした捕食体制になったときに、餌をとらえるフック(矢印)が口元にわずかに確認できるぐらい。歯舌はこの奥に隠れています。
…見たい。
【飼育研究部 森滝丈也】