先日の沖合底引き網では、去年新種発表されたカンムリヒトデスイクチムシが1匹だけ採集できました(スイクチムシは棘皮動物に寄生するゴカイの仲間です)ちなみに、本種はカンムリヒトデの胃に寄生しますが、特に悪さをするわけではないので、寄生というよりも共生と表現した方が適切かもしれません。
さて、このスイクチムシはヒトデから取り出すと数日のうちに死亡するため、今回も飼育中のヒトデに寄生させてみることにしました。
9月にも同様の実験をしていますが、今回は餌と一緒に与えるのではなく、まずはスイクチムシ単独でヒトデに近づけてみることにしました。ところがスイクチムシはすぐにヒトデにしがみついたものの、ヒトデの口元でじっと待機?して胃の中に入る気配はありません。
そこでヒトデに餌を与えてみることに…。
すると、ヒトデが餌を食べ始めるとスイクチムシは一緒に胃袋の中に入っていくではありませんか!
まさに口が開くのを待っていたかのよう。もしかしたらスイクチムシは自力では口をこじ開けて胃の中に到達できないのかもしれませんねぇ。
これで9月の個体に続いてスイクチムシと共存するカンムリヒトデ2匹目の誕生です。
実は、皆さんにもこの寄生(共生)の様子を観察してもらいたいと考えていたのですが、普段はヒトデの胃の奥に隠れてなかなかご覧いただけません。残念です。でもしっかりヒトデの胃の中で生きていますよ。
【飼育研究部 森滝丈也】