今回、熊野灘の漸深海帯(水深300m~)で採集された3種の稀少な寄生性等脚類に和名が提唱されました。
和名がついたグソクムシ科の2 種はこれまで日本からの記録が無い本邦初記録、もう1種のスナホリムシダマシ科(新称)は太平洋初記録になります。
(齋藤暢宏・森滝丈也.2015.熊野灘漸深海帯から採集された等脚類3稀種.Cancer, 24:63-68.)
これまでに飼育日記で紹介した名無しのグソク達に和名がついたとは、とても感慨深いものがありますね。
これからも飼育日記を書き込んで研究者とどんどんコラボしていきますよ~
今回和名が提唱されたのは以下の3種。
①メダマウオノシラミ(新称)Rocinela oculata Harger, 1883
尾鷲市三木崎沖水深300 mより深海底曳き網で採集 宿主不明
本種はこれまでにアメリカ大西洋岸のジョージア沖水深453.6 mやオーストラリア近海の水深450~630 mから採集の報告があります。
アカレンジャーのような(あるいはバカボンに出てくる警察官)と呼んでいたグソクムシですが、これからは「メダマウオノシラミ」です。
②ブユノメグソクムシ(新称)Aega monophthalma Johnston, 1834
2014 年9 月19日 尾鷲市三木崎沖水深300 mより深海底曳き網で採集(宿主不明)
イギリス北海岸や南アフリカ、南西太平洋から報告あり。飼育日記はこちらhttps://aquarium.co.jp/diary/archives/12302
特徴的な巨大な複眼が昆虫のブユの眼に似ていることから、この和名が提唱されました。
3種目はスナホリムシダマシ科(新称)の
③スジオスナホリムシダマシ(新称)Tridentella sculpturata Kussakin, 1955
この個体は2014 年12 月27日に尾鷲アクアステーションの海洋深層水取水施設(取水口は水深415 mに開口)からやってきました。その時の飼育日記はこちらhttps://aquarium.co.jp/diary/archives/13814
これまでに北海道の礼文島近海の水深70~96 mで採集記録があります。
※3種とも現在は展示をおこなっていません。
さてさて。
2012年にこの飼育日記が リニューアルされて、今回の日記をもって私の書き込みが累計500回に到達しました。
旧飼育日記(1999年~2011年)では940回書いたので、通算1440回。
こりゃ2000回目指せるな(笑)
これからも読みやすく為になる、マニアも予備軍(マニアじゃない人ね)も楽しめる飼育日記を目指して書き続けていきます。
末永くよろしくお願いします。
【飼育研究部 森滝丈也】