へんな生きもの研究所で飼育しているタガヤサンミナシ。殻の長さ10cmほどのイモガイの仲間です。
タガヤサンミナシは矢のような歯に毒があり、間違って人が刺されると、激しい痛みや痺れ、嘔吐や目眩などの症状が出ることがあるそうです。
とは言え、貝の動き自体は緩慢で、積極的に人を襲うような攻撃性はありません。
元々、この毒は餌となる貝を襲って食べるためのもの。巻貝に毒を注入して動けなくして、捕食します。
先日、タガヤサンミナシがおなかをすかせていた様子だったので、生きた巻貝(シノマキ)を与えました。
巻貝を水槽に入れたとたん、タガヤサンミナシはゆっくりと動き、オレンジ色の吻を巻貝に差し込みました。
巻貝が身を縮めると、注入された毒が白煙のように吹きあがります…
タガヤサンミナシの動きは緩慢なので、逃げ回る貝でも仕留められるよう強力な毒を持つようになったのかもしれません。
翌日には貝の中身はすっかり食べつくされていました。
ところで、タガヤサンミナシの「タガヤサン」とは、東南アジア原産の堅く美しい材質の木の名前。貝殻が堅くて美しいことから連想されて名づけられたそうです。
また、末尾のミナシは、貝殻の奥の方に引っ込むとまるで中身がないように見えることから「身無」という意味になります。
【飼育研究部 森滝丈也】