今年の春先から気になっている正体不明生物(?)がいます。
その生物がいるのは伊勢志摩の海日本の海ゾーンのイセエビ水槽。ある1匹のトラウツボの頭に取り付いています。
少し伸びた柄部をウツボの頭に差し込み、後端にモジャモジャとしたものが付いた姿(矢印)。この形態から私はこの謎生物を密かに「ウツボのちょんまげ」と呼んでいます。
8月15日撮影
この水槽には11匹のトラウツボがいますが、「ちょんまげ」が付いているのは、この1匹だけ。
ちなみに、寄生の影響なのか、このトラウツボは普段は擬岩の裏に隠れていることがほとんどで、滅多に表側に出てきません。それで、なかなか鮮明な写真が撮れず、ちょんまげの正体も不明なままです。
4月16日撮影
5月28日撮影
6月15日撮影
この「ちょんまげ」は節足動物カイアシ類(コペポーダ)の一種ではないかと予想して、カイアシ類の研究者にたずねてみたところ、スフィリオン科Sphyriidaeといったカイアシ類のような感じがするが、はっきりとは分からないとの返事をいただきました。
おそらくトラウツボから取り外すなどして、細部を観察しないとはっきりとしたことは言えないのでしょうね。
幸い、トラウツボに大きな影響(悪影響)は認められないようなので、もうしばらく両者の観察を続けていく予定です。
【飼育研究部 森滝丈也】