深海に生息するヤマトトックリウミグモはどうやらイソギンチャクを餌にしているようです。飼育を通じてそんな興味深い生態が明らかになりました。
実際に水槽内で目にする機会は滅多にありませんが、ウミグモはイソギンチャクに近づくと、ヒョウタン型の吻をゆっくりと揺らしたり、前方に向けたりしながら間合いを取り、最終的に一気呵成に吻を突き刺します。
この一連の行動については水族館の年報(2021年)で報告したので、興味ある方はそちらもご参照ください。17-2021.pdf (aquarium.co.jp)
さて。
今朝、へんな生き物研究所を見回りしていると…餌用に入れてあったイソギンチャクの様子がなんだか変!
うわ、ウミグモがイソギンチャクに飲み込まれてる…
状況から見るに、どうやらウミグモがイソギンチャクに吻を差し込んだ際、返り討ち(?)にあって飲み込まれてしまったようです。あるいは吻を突き刺す勢いが強すぎたか…
でも、おそらくこういうことは時々あるはず。
おそらく飲み込まれてもウミグモは案外平気で、そのうち吐き出されるような気がしますが(たぶん)、ひとまず今回はイソギンチャクからそっと引き抜いて救出することにしました。
引き抜いたウミグモは元気で、粘液まみれでした。
これは、もしかしたら私の早とちりで、ウミグモは楽しい食事の最中だったのかしれません(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】