底曳網で採集されるコシオリエビ類は、エビに似た姿をしていますが実はヤドカリの仲間です。
この仲間は大きなハサミ脚と、それに続く3対の歩脚を持ちますが、さらに鰓室清掃用の小さな1対の脚も持っています(普段は折りたたまれているのであまり目立ちません)
これを使って鰓室を掃除する姿をたまに見かけますが、何となく“まごの手”を使って背中をかく仕草にも見えて、なかなかほほえましい。
頻繁に鰓室を掃除するのは、取り付いた寄生虫(の幼生)を掻き出すためと考えられています。鰓室にはエビヤドリムシの仲間(甲殻類)が寄生するので、それを掻き出そうとしているようです。
ところが、それをかいくぐって寄生に成功するエビヤドリムシ幼生もいて、そのまま鰓室で成長することもよくあります。こうなると、もう自力では取り除けません(背甲がコブ状にふくれています)
エビヤドリムシに寄生されても直ちに命の危険があるわけではありませんが、気持ちは悪いでしょうねぇ…
先日(私が代わりに)取り出したエビヤドリムシの仲間はこんな姿をしていました。
メスとオスが一緒になって寄生しています。bar=5mm
【飼育研究部 森滝丈也】