先日の日曜日、いつもお世話になっている甚昇丸に乗船して沖合底曳き網採集に出かけてきました。当日は風と波が少し強くて大変でしたが、興味深い生物がいくつか採集できましたよ。
今回は珍しい、ヒトデの歩帯溝(管足が並ぶ部分)に寄生するAsteromyzostomum属スイクチムシ(多毛類・ゴカイの仲間)がまとまって採集できました(すいません、和名がないので読みにくいですね)。
ニチリンヒトデ7個体のうち、6個体に付いていました。うひょー!
バラの花びらかキクラゲのような姿をしています。
このAsteromyzostomum属スイクチムシの仲間は、これまでに北極から3種、南極から1種が記録されているだけの珍しいグループです。正式な報告は未だですが、私は熊野灘で2015年に初確認し、翌2016年と2020年にも熊野灘の水深300mあたりから採集しています。今回のようにまとまった数が採集できたのは初めてです。
ヒトデと共にしばらく予備水槽で飼育する予定です。
この熊野灘のAsteromyzostomum属スイクチムシが既に知られている種類なのか違うのか、詳細は今後、調べていかねばいけませんが、いずれにしても極地方以外でも見つかったことは大変興味深いですね。
あらためて熊野灘の生物多様性はすごいと思います!
【飼育研究部 森滝丈也】