昨年末に新種記載された「ヤドカリスナギンチャク」。学名はEpizoanthus xenomorphoideusで「エイリアン(ゼノモーフ)に似た」という意味です。ヤドカリが背負うスナギンチャクの共肉から何本ものポリプが林立する姿はなかなか強烈…。
本種は深海に生息することから、生体を観察する機会が少なく、生態の観察報告はほとんど無いようです。
そんなヤドカリスナギンチャクですが、入館後しばらくしてポリプが一本死亡してしまい、その時共肉に開いた穴は2ヶ月ほどで修復しました。
それが、昨日、ヤドカリスナギンチャクを何気なく見ていて、驚きました!
先端近くに新しい小さいポリプ(矢印)が誕生しているじゃないですか!
今回、ポリプを1本失ったから代わりに新しいポリプが誕生したのか、詳細は不明ですが、こんな風にスナギンチャクの成長過程を観察するのは初めてのことです。
これからどうやってポリプは成長していくのか、何本まで増えるのだろうか、と興味は尽きません。貴重なデータになりそうです。
過去に入館した個体の中には、今の個体よりもずっと多数のポリプを持ったものもいました。
ちなみに、ヤドカリスナギンチャクの裏側を知りたい方のために披露すると、こんな感じです。
全て、共肉に包まれています。
【飼育研究部 森滝丈也】