これまでに何度か飼育日記で紹介している、重なるウニPrionechinus forbesianusですが、実は正式な和名がありませんでした。
そこで、この度、和名を提唱しました。
実は、学名と違って和名には命名規約(ルール)がありません。
ですが、実際は学術雑誌や図鑑など公表性の高い媒体での提唱が主になっているようです。そりゃ誰でも彼でも勝手な名前で呼んでいたら混乱しますからね。
今回は水族館の年報で、行動報告と共に和名を提唱しました。
このカガミモチウニは日本近海からフィジー島まで太平洋西側の水深260–1370mにかけて幅広く分布し、海底の沈木を餌とする習性が知られています。熊野灘では水深300m付近から沈木と一緒に採集されます。
水槽の中で2個体が長期間上下に重なることが初めて明らかになりましたが、この行動は複数の個体間で同時に起こり、また、それぞれが比較的長期間持続します。
そして、上の個体は全てオス、下の個体は全てメスで、共に性成熟に達していました。
さらに,上下に重なったペアに単独オスが接近すると、メスの上に乗っていたオスが近づく単独オスを激しく押し出すことから、この重なり行動はオスが産卵時期のメスを独り占めする行動だと考えられます。
他のウニでは見られない、とても興味深い行動です。
次は図鑑でカガミモチウニを紹介したいですね(笑)
【飼育研究部 森滝丈也】