ちょうど1年前の今ごろといえば、私たちはスナメリの人工哺育に追われる毎日を過ごしていました。昨年の5月25日に無事に生まれたスナメリの赤ちゃんでしたが、生後5日目から母親が世話をしなくなり、私たち飼育員が24時間体制で授乳や観察、ミルクの準備に取り組みました。スナメリの赤ちゃんは頻繁に乳を飲むため、1日の授乳は多いときで14回を数え、昼夜を問わず90分ごとに行いました。2013年、2014年に次ぐ3度目の人工哺育でもあり少しは慣れていましたが、それでもけっこうヘトヘトになっていました。
しかし飼育員たちの努力の甲斐あり、赤ちゃんは順調に育ち、魚の摂餌、他個体との同居もうまくいきました。今、スナメリの展示プールにはそのとき私たちが育てた「ココロ(♀)」が元気に泳いでいます。ガラス面に寄ってお客様と遊ぶのが大好きで、いつもキャーキャー言われる人気者です。最近はボールで遊ぶのが楽しいようですし、掃除に潜ったダイバーにも近づいて興味津々の様子です。「あー、あれから1年か」と、たいへんだった人工哺育を思い出しながら、ココロの成長を喜ぶ今日この頃です。
わかばやし