先月、熊野灘の底引き網(水深300mあたり)で採集されたハリダシオウギガニを展示しました(へんな生きもの研究所内、「鏡餅ウニ」の水槽で展示)。
甲幅12mmほどの小さなカニですが、よく見ると、腹にフクロムシの仲間が寄生しているじゃないですか!
見かけること自体少ないフクロムシの仲間、その名前の通り、袋状の体が特徴の寄生生物(甲殻類)です。寄生する相手は自分と同じカニやエビ、フジツボなどの甲殻類。
袋状に見えるものはフクロムシ(メス)のエキステルナという部位で、中身のほとんどが生殖器となっています。
今回のフクロムシは袋の端が突起のように張り出していて特徴的ですね。
フクロムシの研究者は少ない(ほとんどいない?)ようなので、種類の特定はできませんが、貴重なデータになります。
これまでに熊野灘の底引き網でフクロムシ類を見つけたのはこれで4例目(カニから3例、ヤドカリから1例)。
最初に確認したのはサガミモガニに寄生していたフクロムシでした。
形態が違うので、それぞれ別種のようにも思えますが…どうでしょうか?
【飼育研究部 森滝丈也】