水族館の予備水槽で熊野灘水深300mの沖合底引き網で採集されたタコを飼育しています。
体色から私はアカトラと呼んでいますが、少なくとも日本では記録されていない種類のようで、現在調査を進めています。
タコの種類を特定することはかなり難しいのですが、去年飼育していたアカトラ№3が水槽の中で性成熟に達してこのタコの特徴がかなり明らかになりました(№3は2017年5月死亡)
体に皺状の突起があり、成熟すると腕の中程あたりの吸盤が特に大きくなる。また、オスの右第3腕(交接腕)の先端にある、メスに精子を渡すための器官(舌状片)がかなり大きく、腕の長さの20%ほどに達する。
これらの特徴はミズダコ属Enteroctopusのものに合致します。
ちなみにミズダコ属Enteroctopusは4種が知られていますが、北半球に生息するのはミズダコだけ。アカトラはミズダコとは姿が明らかに異なります。
もう少し調査を継続してデータを集めなくてはいけません。
現在飼育中の№5♂はまだ若く、ミズダコ属の特徴がはっきりしません。
成長と共に変化する特徴を記録するため、先日、体の計測を行いました。
大事な交接腕はなかなか見せてくれません(笑)
なんとか先端の舌状片を撮影。でもまだまだ小さいですね。
【飼育研究部 森滝丈也】