現在、へんな生きもの研究所で飼育中のカイメンの話題です。
このカイメンは2016年の春、熊野灘の水深250-300mで採集されて水族館に搬入されたものです。
水族館向かいの菅島にある名古屋大学の臨海実験所のカイメンの研究者さんに調べていただき、ジクネカイメン属の一種(Rhizaxinella sp)だということまでは判明していますが、種類は特定できていません。
同じ仲間で日本から知られている種類はこのように枝分かれしていないそうなので、珍しい種類である可能性もありそうです。
ところで、このジクネカイメンは入館直後はこのように柔らかなベルベットのような質感でしたが…
日を追うごとに徐々に痩せてきて、いつしか体は軸と同じツルッとした質感に…
このままダメになってしまうかもしれない。
ところが、2ヶ月ほど経過すると、再び成長しはじめて、いつの間にかふっくらと元の状態に近づきました。
去年の夏は水槽の水温が少し高めだったので、その影響で痩せたけれど、冬になって水温が安定するようになったので復活したのか?と当初は考えていましたが…
どうやら、そう単純な理由でも無いようで、この後、水温が低い冬であるにも関わらず、何故かふたたび痩せ始めたのです。
そして、今年の春には再びガリガリに…
さすがに今回はこのまま死んでしまうかも知れない、と思っていました。
ところが、先日ふと見ると枝の先端が成長しているじゃないですか!
矢印で示した箇所の質感が明らかに変化していますが、わかるでしょうか。
別の枝でも変化が確認できました。
どうやら、また復活しはじめたようです。
何がきっかけでこのような成長と休眠?を繰り返すのか謎ですが(餌の条件?)、ひとまず成長を見守ることにしましょう。
成長期はゆっくりとですが確実に目に見えて姿が変化するので、観察はなかなか楽しいです。
【飼育研究部 森滝丈也】