昨日、姉妹間提携を結んでいるニューカレドニアのラグーン水族館から4匹のオオベソオウムガイがやって来ました。
鳥羽に新規個体が入館するのは、実に3年ぶり。
2013年に入館した個体が残り1匹となったのでかねてから依頼していたものでしたが、大阪の関西国際空港に到着するので早起きして車で受け取りに行き、そそくさと通関をすませて昼過ぎに帰館。
このオオベソオウムガイはニューカレドニア周辺にだけ生息する種類で、飼育している園館は世界でもラグーン水族館と鳥羽水族館だけ。
実は、実物を目にする機会は意外と少ないのです。
また、鳥羽ではこれまでに水槽内に産卵した卵から62匹の孵化に成功しています。
到着した4匹は全てオスでした……
これまでラグーン水族館さんに雌雄の指定をしたことはなく、それでもいつも半数ぐらいはメスがいたのですが…
ひとまず展示の継続はクリアできましたが、残念ながら繁殖はまた次の機会ということに…
ところで。
オウムガイ類のオスは性成熟に達すると口の左側にある3本の触手が大きく成長してspadix(スペイディクス)と呼ばれる交接腕に変化します(矢印)
オスはこのspadixを使ってメスに精子(精包)を渡すわけですが、どういうわけかオオベソオウムガイの中には左側ではなく右側の触手がspadixになる個体がいます。
通常、こういった左右性は変化しないはずですが…興味深いです。
今回の個体でも4匹のうち、何と3匹が右にspadixがありました(75%の割合)
過去4回入館した個体でも20%(2008年)、50%(2011年)、28.6%(2013年)の個体が右spadixだったので、割合としてはかなり高い。
フィリピンのオウムガイ(Nautilus pompilius)では交接腕が右側にある個体なんてこれまでに見たことがないのですが…気付いていないだけなのでしょうか?
オウムガイは他の水族館さんでも飼育しているので、何か情報をお持ちの担当者さんがいるようでしたら、連絡ください(笑)
これが、右spadixの個体。
【飼育研究部 森滝丈也】