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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

Asteromyzostomum属スイクチムシが見られるってよ!

個人的に無脊椎動物が好きですが、その理由の一つが他の生物や環境との関わりを水槽内で再現・観察しやすいから。

サイズが大きい哺乳類だと、これが難しい…

哺乳類ももちろんカワイイと思っているんですけどね(笑)

 

水族館で働く者として、海の生物の多様性やつながりを知っていただきたいと考えています。

 

そんな経緯で、個人的に最近は寄生虫・パラサイトが熱い!何とか展示できないかと…

でもなかなか難しい。

魚が泳ぐので、水槽に入れてもウオノエの仲間は展示にならないし…(透明・魚型ケースに入れるとどうかな?)

ヒトデに寄生するシダムシ(甲殻類・フジツボに近縁)は内部寄生だし…(特殊ヒトデ型容器の開発が必要か!?)

そんな中、去年12 月にカンムリヒトデにスイクチムシの仲間(Asteriomyzostomum属)を見つけました。これは展示できるかと思いましたよ!

しっかりカンムリヒトデの口から見えています。

ところが肝心のカンムリヒトデ自体の飼育が難しい…すぐに崩れて死んでしまいます。

この画像の個体も既に腕が全て脱落しています。

ちなみにスイクチムシは多毛類(ゴカイの仲間)で、このAsteriomyzostomum属の既知種は2種だけ(地中海とアメリカ西海岸)

それが昨年は熊野灘の沖合底引き網で採集したヒトデ3種(ウデナガゴカクヒトデ、ヒメヒトデの一種、カンムリヒトデ)から計4種の未記載Asteriomyzostomum属スイクチムシを見つけました。

 

しかし、パラサイトの展示はなかなか難しい…

…と思っていたら、今度は1月に別属のスイクチムシ(Asteromyzostomum属←非常にややこしいですが、こちらの学名には i がありません)を見つけました!

この仲間は北極と南極から4種類が知られているだけで、私の調べた限りでは日本からの報告はありません!

トゲニチリンヒトデの歩帯溝あたりに寄生しています。

よく見えています。

そして宿主であるヒトデの状態も良好!

これなら展示しても大丈夫そうです。

 

ただいま、へんないきもの研究所で公開中。

アパート水槽(ニチリンヒトデ水槽)でご覧頂けます。探してみてください。

 

この仲間は日本のどこの水族館でも展示していないはず。

世界を見渡しても鳥羽水族館だけだと思いますよ(笑)

【飼育研究部 森滝丈也】

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