昨年末から個人的にスイクチムシに燃えています。
本当は今年はシダムシに燃えなければいけないのですが…少し浮気中ということで(笑)
スイクチムシは主にウミシダで見られる寄生生物で、見かけからは想像つきませんが、実はゴカイなど同じ多毛類(環形動物)の一員。
ヒトデ類に内部寄生するAsteriomyzostomum属の既知種は2種しかいませんが、昨年は熊野灘の沖合底引き網で採集したヒトデ3種(ウデナガゴカクヒトデ、ヒメヒトデの一種、カンムリヒトデ)から未記載種スイクチムシを相次いで確認したので、興奮しているわけです(ちなみに既知種は地中海とアメリカ西海岸から見つかっているようです)
まだまだ見つかるかも知れません。
この3種以外にも、実は、ヤマトホシヒトデにもAsteriomyzostomum属スイクチムシが寄生することが知られています(以前の飼育日記でも紹介しました)
このスイクチムシは10年ほど前に他の海域(東シナ海の五島列島沖)で見つかり、すでに学会で報告されていますが、まだ記載はされていないようです(学名がつけられていない)
ヤマトホシヒトデは熊野灘にも分布し、このスイクチムシの寄生も確認しているので、熊野灘のAsteriomyzostomum属スイクチムシは今のところ4種(すべて未記載種!)が確認されているということになります。
昨日、死んだヤマトホシヒトデからこのスイクチムシを標本用に採集しました。
きれいに写真が撮れたので掲載します(同僚には気持ち悪い…と言われましたが)
スイクチムシとしてはかなり大型種です。
このかたちが「吸い口」(病院や看護の現場で使われる、水を飲ませる急須に似た器具)に似ているのでこの名前が付いたのでしょう。
個人的にはすごく魅力的な生物だと思うのですが…賛否両論です(笑)
しばらくはスイクチムシ熱は収まりそうにもありません。もちろん他のへんな生きもの達も!
【飼育研究部 森滝丈也】