昨日、魚類の受け取りに出かけていたスタッフが持ち帰った海水の中にホンダワラコケムシの切れ端が浮いていました。
以前からちょっと確かめたいことがあったので、それを捨てずに取っておき、先ほど顕微鏡で観察してみました。
ちなみにホンダワラコケムシは海藻に見えますが「外肛動物」という群体性の動物。
こんな生きものです↓
それ自体はごくありふれた種類で、いつも採集に行く鳥羽湾の磯でも簡単に見つかります。
顕微鏡で観察を始めたその直後…
うぉ、見つけた!ビンゴ!
見つけたのは、ロクソソマ(ロクソミトラ属)です(矢印)
この個体で体高0.6㎜ほど。
私の最近の日記はグソクかロクソソマばかりなので、すっかりおなじみ?のロクソソマですが、この仲間は、コケムシとは別の「内肛動物」という超マイナーなグループに属する生物です。
スライドガラスに挟みこんで顕微鏡で観察。
ロクソミトラ属の一種 正面(100目盛り=0.8mm)
背面
実は、去年も同じ時期に同じ場所で採集されたホンダワラコケムシにこのロクソソマ(ロクソミトラ属)の付着を確認しています。
ところが、水族館のすぐ近くの鳥羽湾の磯で採集されるホンダワラコケムシを探しても全く見つからない…
何故だろう?
で、それを解明する手がかりはないかと、また同じ場所のホンダワラコケムシが手に入ったら、ロクソソマを探してみようと去年からずっと思っていたのです。
…まぁ、自分で採集に行けば手っ取り早いのですけど。
今回、観察してすぐに複数個体が見つかったので、やはりこの場所に生息するホンダワラコケムシにはロクソソマの仲間が高確率で付着しているようです。
鳥羽湾とホンダワラコケムシの生息環境が異なるためにロクソソマが付着するのかもしれません。
追記)これで現在、鳥羽水族館で飼育しているロクソソマ類は3種類になりました…