今朝、開館前にへんな生きもの研究所の見回りをしていて、ヤマトトックリウミグモ水槽に目が留まりました。
水槽の底、ある一ヶ所(矢印)から小さなゴマ粒みたいなものがポツポツと浮き上がってきているじゃありませんか!
とは言え、1㎜もないほどの大きさ、目を凝らして観察しないとよくわかりません(矢印)
砂の中から一度にたくさんが出てくるのではなく、プ・プ・プ・プ…少し間を取りながら産み出されている感じで、全体的な印象はサンゴのプラヌラ幼生に似ている。
しかし、何が産んでいるのかは不明…
当然、すぐに20匹ほどサンプリングして顕微鏡で観察してみました。
果たして正体は…
何と多毛類(ゴカイの仲間)の幼生?でした!
初めのうちはゴマ粒みたいに縮んでいましたが、伸びてきます。
それでも体長は1㎜ちょっと。
眼が可愛いですね。
疑問なのは、本当にこれが多毛類の幼生なのかということ。
私が知る限り、海産の多毛類の繁殖形態は、卵から親と姿の異なるトロコフォア幼生として孵化するもの。
今回のゴマ粒が多毛類の幼生であるなら、成体に似た姿で産まれる「卵胎生」だということになります。
ま、私が知らないだけで、そんな多毛類も普通に存在するのかも知れません。
深海底引き網で採集された生きものである可能性が高いですし、深海なら卵胎生種がいても不思議ではありません。
ちなみに、これまでにこの水槽で多毛類は見かけたことはなく、砂をほじくり返してみたけれどそれらしき姿は確認出来ませんでした。
…いずこに?そして正体は?
う~ん、気になる。
でも、興味深いものがたくさん見つかるからとは言え、ちょっと手を広げすぎですね(笑)