先日、三重県尾鷲市沖水深300m付近で採集されたヒトデが数種類、水族館に持ち込まれました。
その中に見慣れない「美ヒトデ」が1匹…
ゴカクヒトデ科の仲間であることはわかりますが、今までに見たことがない種類…
ひとまず予備水槽に収容しました。
大きさは体の中心から腕の先端まで(輻長・ふくちょう)約5㎝
うすい橙色をした五角形のヒトデです。
実は、私の出身大学の先輩、後輩にはヒトデ研究者が数多くいるので、さっそくその中の一人、ヒトデ分類を専門にしているKさんに画像を見ていただいたところ…驚きの返事が!
何と、このヒトデはゴカクヒトデ科の Lithosoma japonica Hayashi,1952(和名なし)で、紀伊半島沖で採集された2個体の標本をもとに1952年に新種記載されたきり採集の公式記録がない種類とのこと。
つまり実に60数年ぶりに見つかったことになります(そして、当時の2つの標本は行方不明だそうです…)
当時、このヒトデを新種記載したのが、ヒトデ分類の世界的大家である林良二先生。
私の大学の名誉教授でした。
もっとも私が入学した時分には先生はすでに故人でしたので面識はなく、先生のお名前と業績を存じ上げているだけでしたが、まさかこんな形で縁することになるとは…
驚きました。そして嬉しかったです。
さっそく、このヒトデは1月20日より「へんな生きもの研究所」で一般公開しました。
初めて生存時の色も明らかになり、日本初の生体の展示として専門家の間でも注目を浴びそうです。
まずは飼育に挑戦…
ですが、問題はゴカクヒトデ科は経験上あまり長く飼育できないこと。
生きている姿は大変貴重なので、ぜひ皆さんに見ていただきたいのですが…。
ひっくり返すとこんな感じ。
大変貴重なヒトデなので死んだら標本にする予定ですが…できるだけ長い期間、生きた姿を見ていただけるよう念波を送ります(笑)。
ふ~ん!!
ちなみに学名の Lithosomaは、Litho(石の)soma(体)という意味です。
確かに体の周縁部(縁板)はきめの細かな大理石のような質感で、ここが特に萌えますね。