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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

深海ナマコの骨片 その2

先日、深海底引き網で採集されたナマコが入館しました。

いや~深海って実に色々なナマコが生息していて、ナマコにとって(ナマコ好きにとっても)ホント楽園のような場所ですが、名前のよく分からない種類も多いのです。

今回入館したこのナマコも今まで見たことがない種類…

管足が見当たらず、体の後端が尾のように細くなっていることから…どうやら隠足(インソク)目のナマコのようです。

私は隠足目ナマコを見るのは初めてなので嬉しくてちょっと興奮(笑)

 

図鑑と照らし合わせて最初は【イモナマコ】かと思ったのですが…

口の周囲にある触手の先端が分枝していない(指状)ので、どうやらイモナマコではありません。

【イモナマコモドキ】あたりが該当しそう。

 

ナマコは体壁にある骨片の形状が分類の大きな指標になります(例えばイモナマコとイモナマコモドキでは骨片の形が大きく異なります)。

ナマコはすでに死んでいたのでさっそく骨片を確認することにしました。

体の部位によって骨片の形が違う場合もあるので、体の中程の体壁を約2㎝四方に切り取り、筋肉などを丁寧に取り除ったのちシャーレに入れて水酸化カリウムで溶かしていきます。

体壁が薄ければこのまま見える場合もあるので、溶かしている途中で観察してみたのですが…あれ?骨片が見えない。

骨片が極端に少ない種類なのでしょうか…?

 

数日後(本日)、体壁が完全に溶け去ったのを確かめて、再び骨片観察してみることに。

ところが…やっぱり無い?

 

他のナマコならすぐに見つかるはずなのに…と思ったその時、妙な赤い粒々が視野に飛び込んできました!

どうやら、これが骨片のようです。

…でも、こんな色の付いた骨片なんて初めて見ました。いくつかが一塊になっていたので体壁に局在するようです。 

直径20~50μmぐらいでしょうか。

 

ところが、図鑑に示されたイモナマコモドキの骨片はドーナツ型や勾玉型。

他のナマコの骨片よりはイモナマコモドキのものに似ている気はしますが、どうも違う(こんな目立つ色についても記述されていないし)。

どうやらこのナマコはイモナマコモドキではないような…

…というわけで、結局この赤い骨片を持つナマコの正体は結局わからずじまい。

 

まぁ一筋縄でいかないところが面白いわけで。

何と言っても深海のナマコなので、知られていない種類がいても不思議ではないですしね。

とりあえず、引き続きもう少し詳しく調べてみたいと思います。

 

深海ナマコの飼育はとても難しいのですが、いつの日か皆さんにお見せできる日が来れば良いですね。

頑張ります。

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