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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

クギベラ

今日の夕方。

ふと見ると、サンゴ水槽の魚たちが繁殖活動に励んでいました。

ハナダイのオスがハーレムつくって、メスにせっせとアプローチしていたり…

照明が落とされた館内で、そこだけ明るい水槽の中。

観客のざわめきもなく、ゆっくり観察していると実に楽しいものです。

 

すると、その静寂を破るように勢いよく突進してきたクギベラのオス。

いつもと違う、激しい泳ぎ方です。

 

これがクギベラ(オス)↓

英名「バード・ラス」の通り、どことなく鳥っぽい面構え。

こいつがデバスズメダイの群れの中を突っ込んで泳いだり…

 

いつもと雰囲気が違うなぁ…と何となく眺めていたら、サンゴの陰からメスのクギベラが現れました。

これがメスのクギベラ↓

オスが先行して泳ぐと、メスはそれに付いていきます。

オスが激しくスピードアップしても付いていくメス。メスが離れるとオスは尾びれを小刻みに振動させたり、泳ぎのスピードを緩めたり…こりゃ明らかに誘っているな。

 

そのうち、二匹の泳ぐスピードがグングン増して、体が触れ合ったと思ったその時!

パッ!とオスが放精したのです。多分、同時にメスは放卵をしたはず。

瞬間、ぐわっとデバスズメダイが群がって、せっかくのオスの精子を(そしておそらく卵も)しきりについばんでました(苦笑)。

 

行為が終わると、クギベラたちは何もなかったかのように、別々に落ち着いて泳ぎ始めました。

そこへ、見回りを終えた新人飼育係Y嬢がやってきました。

事の顛末を聞いて、興味を持った彼女も観察を始めました。

 

実はベラの仲間は放卵、放精を何回かに分けて小出しにするのです。

だから次もあるだろうと、しばらく見ていたのです。

思惑通り、ほらほら、また急にクギベラ(オス)の泳ぎが激しくなりました。

 

ほらほら、来るぞ来るぞ!

 

案の定、メスが岩陰から出現して、オスの後を追い始めます。

オスはメスを誘いながらまたまた先行。付いたり離れたりしながらも少しづつ2匹はどんどんスピードアップ!うわ~接近!接近!

 

ほらほら、いく!いく!と水槽前で大声で騒ぐ先輩と後輩…

 

あぁ!二匹のクギベラが超接近したぁ。

するぞ!するぞ!

その瞬間!ぐわっと集まるデバスズメダイ(苦笑)

 

あれ?今回はオスは精子を出さんかったな…。

でも、卵は出ているみたいですよとY嬢。

確かにデバスズメがパクパク食べているし、ガラスに顔を近づけて見ると卵らしきものが浮遊している(片っ端から食べられているけど)。

今回は、どうやらオスは放精できなかったらしい。

 

ま、人間でもタイミング合わなかったりすることあるもんな、ははは。とか言っちゃう私(笑)

 

このあともしばらく消灯寸前まで観察していましたが、やはり水槽は限られたスペースしかないためか、抱卵・放精のタイミングはなかなか合わせにくいようでした。

あ~私がタイミングを教えてあげたいですとYさん(…?)。

卵を回収して稚魚が観察できたら良いですね!

どうやらYさん、新たな楽しみを見つけたようです。

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