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鳥羽水族館 飼育日記 鳥羽水族館 飼育日記

オウムガイの精子

オウムガイの水槽でこんなものを見つけました。1㎝ほどの大きさのやわらかな球体。何だと思いますか?

卵?残念、実はこれ、オウムガイの精包なのです。中には精子が入っています。

オス(右)とメス(左)は、こんな感じで交接をするのですが、この時オスは精包をメスに手渡します。受け取ったメスは口の下部にある袋状の部分(ヴァラシエンヌ器官)に精包を保持して産卵に備えるようです。まぁ、具体的なやり取りは触手の中なのでよく分かっていないようですが。

で、時々、渡すのに失敗したのか、精包だけが水槽の底に落ちていることがあるのです。

精包の中には、精子の入った莢が一本、折りたたまれて入っています。これが結構長くて、20~30㎝近くあるでしょうか。精包から精莢(せいきょう)を引き抜くとスルスルッと出てくるので、ちょっと気持ち良いぐらい(笑)精包を見つけると、用もないのにいつも精莢を引き出してしまいます。

画像はオオベソオウムガイの精包

そして、もちろん精莢の中にはたくさんの精子があるわけで、顕微鏡で観察すると、思わず声をあげてしまうほど活きが良いのよ、これがまた。

ピンピンピンピン泳ぎ回っています。

面白いのは、精子のかたち。

例えば、ヒトのだとオタマジャクシのようなかたち、と表現されますよね。頭部と尾部があって、尾部をくねらせて泳ぎ回る。

オウムガイも基本的な構造はだいたい同じですが、大きく違うのは精子の頭部のかたちと大きさ。頭部は棒のように細長くて、長さはヒトの10倍ほどもあります。

大きいので、顕微鏡をのぞいてみたら簡単に見つかりますよ。私も最初はまさか、こんな長いものが精子だとは気が付かず、初めてその事実を知ったときは驚きましたね。

活きが良い精子が手に入るので、いつかオウムガイの人工授精ができれば…と野望を抱いていますが、これを実現するのはなかなか難しそうですね。

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