今年の5月に熊野灘の水深240mで正体不明の「コッペパン似のナマコ」が採れたと飼育日記で紹介しましたが、しばらくした後、残念ながらお亡くなりなりました。
今はこのナマコの種類を突き止めようとしています。
生殖腺の位置からクロナマコ科の一種であることはすぐにわかりましたが、本州中部以南(特に浅海)で見られるナマコのほとんどはクロナマコ科なので(世界中で210種以上います)これだけでは正体はわかりません…
実は、ナマコの同定に重要なカギは体壁にある小さな骨片。体壁の一部を溶かして骨片を観察すると…櫓状体と釦状体(ボタン状)の骨片がありました。
櫓状体があることから、クロナマコ属Holothuriaのようです。
ただ、クロナマコ属は150種以上が知られている大所帯のグループなので、まだまだ特定できません(笑)
このクロナマコ属は骨片の形などからさらに17亜属に分けられますが、どうやら本種はトラフナマコ亜族Mertensiothuriaのようです。
このトラフナマコ亜族は10種類ほどが報告されています(かなり絞れました!)
今は、それぞれの記載論文を読みながら比較していますが、今のところ、該当する種はいません。
その他、食道の周囲にある石灰環↓や
触手の骨片も重要な指標になります。
コッペパン似のナマコ、もしかしたらもしかするかも…
【飼育研究部 森滝丈也】