ロクソソマは内肛動物という、マイナーなグループに属する生きものです(ロクソソマ科)
あまりにもマイナーすぎてロクソソマどころか内肛動物すら通俗名(「○○の仲間、○○類」と呼べる名前)を持ちません。
そのため内肛動物が何なのかを説明するのはなかなか大変(笑)
学生のころ、ロクソソマの解剖模式図を見て海産無脊椎動物にぞっこん惚れてしまった私。
結果(他にも色々と理由はありますが)就職先を水族館に決めたわけですから、ロクソソマには思い入れがあります。
マイナーだけどとても魅力あふれる生物です。
現在、鳥羽水族館ではロクソソマ科のロクソミトラ属2種、ロクソソメラ属2種の個体群を維持(飼育)しています。
画像左から
ロクソミトラ(Loxomitra sp.1)…へんな生きもの研究所オニダルマオコゼ体表に付着。
ロクソミトラ(Loxomitra sp.2)…予備水槽のオニダルマオコゼ体表に付着。
そしてロクソソメラ(Loxosomella sp.1)…ダイオウグソクムシ№5の脚に付着。倍率不同
馴染みやすいように、飼育日記ではミトラ1号、ミトラ2号、ソメラ1号と表記しましょう(笑)
そして先日新たに確認したのがソメラ2号。
ミトラ2号と同じく予備水槽のオニダルマオコゼの体表に付着していたので、おそらくオニダルマオコゼに付着して持ち込まれたものだと推察されますが、ここに付着しているのは少数で、むしろ水槽内のあちらこちらに大繁殖していることが判明。
見つかったのはこの予備水槽(矢印)。バックヤードツアーでも遠目に見ることができますね。
これまで他の種類では個体群の維持管理に注意していましたが、その思いが腰砕けになるほどの大群落…
前3種では確認できていないサンゴ岩にもびっしり付着しています。
でも他の付着生物とは競合するようで、カイメンの表面には付着しないようです。
繁殖力旺盛なソメラ2号の飼育はとても簡単なようで、シャーレに入れて放置していても増えていきそうな勢い。
この仲間は有性生殖(卵)だけでなく無性生殖でも増えます。
ソメラ2号は今後、ロクソソマの普及?に一役買うかもしれません。
【飼育研究部 森滝丈也】