去年の1月に熊野灘の漸深海帯で採集した珍しいスイクチムシの仲間 Asteromyzostomum sp. を飼育しています(ちなみにAsteromyzostomumには和名がありません。カタカナ読みにすればアステロミゾストマムでしょうか)。この種はニチリンヒトデの歩帯溝に寄生するため、ヒトデとセットで飼育していますが、気がつけばもうすぐ丸2年。まさかここまで長いつき合いになるとは思いませんでした。
このグループ(1科1属)は、これまでに 北極から3種、南極から1種 が報告されているだけという非常に希少な仲間です。見た目はキクラゲのようですが、実はゴカイなどと同じ多毛類に属します。
これまでにも何度か本種を採集したことはありますが、宿主となるヒトデの飼育が難しく、短期間で共倒れになってしまうことがほとんどでした。ところが、今回はヒトデの状態が非常に良く、安定して維持できています。宿主が元気だと、スイクチムシも調子が良くなるのかもしれませんね。
日に日に成長していく姿に、愛着がわいてしまいます。
Asteromyzostomum の成長過程 (長期飼育)なんてどこにも記録がないはず。動くことはありませんが、個人的には可愛らしく思え、寿命がどれくらいなのかなど興味は尽きません。
こちらは2021年11月に採集した個体(腹側から撮影)
【飼育研究部 森滝丈也】






