シダムシという生物をご存じでしょうか?
ヒトデの体腔内に寄生する甲殻類で、フジツボの仲間と比較的近縁です。
飼育日記で紹介するのは1年半ぶりですが、実はシダムシは私の「推し生物」でもあります。過去に熊野灘で見つけて研究者と一緒に記載した新種に「トバスイ」の学名を名付けたものもあります。
さて、先日の沖合底引き網で採集した生物の中にオトヒメモミジガイAstropecten eucnemisに寄生していたシダムシを見つけました。
本種は2016年4月に一度だけ採集したことがあり、実に9年半ぶりの再会です。そして、本種はどうやら未記載種のようです。
今回見つけた個体はヒトデの体壁から体の一部が出ていました。これは面白い!
実は、シダムシは幼生の頃にヒトデに寄生し、そこから体腔内に潜り込んで成長しますが、最終的に幼生を放出するためにヒトデの体腔から出てくるようです。このヒトデから外に出る方法がシダムシの種によって異なるのではないかと、私はにらんでいます。
これまでに、ヒトデの口から出てくる(例:ユミヘリゴカクノシダムシ)、ヒトデの体が弾けて出てくる(例:アカヒトデシダムシ)といったパターンを確認しています。
今回採集したオトヒメモミジガイのシダムシは、ヒトデの体壁に開いた小さな隙間から外に出てくるパターンかもしれません。非常に興味深いです。
ヒトデから取り出したシダムシ。
【飼育研究部 森滝丈也】






