このたび水族館で発見した深海のイソギンチャクが新種記載されました!
ゲンシカイキ Neotenactis amaterasです。
本種はこれまでに世界で2属2種しか知られていないムカシギンチャクの仲間で、この仲間としては実に約130年ぶりの新種、しかも新属、さらに北西太平洋において初記録となります。凄い。
熊野灘の深海から採集した泥岩表面に高さ7-8㎜ほどの小さなイソギンチャクが付着していることに気付いたのは2020年の秋のこと。
当時、見慣れぬ姿が妙に気になり、知り合いのイソギンチャク博士に見てもらったところ、驚愕の正体が判明…。元々、オオグソクムシの隠れ家として何気なく持ち帰った泥岩だっただけにテンション爆上がり。
ムカシギンチャクの仲間はイソギンチャクの幼生に似た非常に単純な体のつくりをしていることから、以前はイソギンチャクの祖先形だと考えられてきたようですが、最近の研究の結果、二次的に単純化したという説が有力になっているとのこと。
今回のゲンシカイキは「普通のイソギンチャク」と「ムカシギンチャク科」の中間形質を残した種であることが明らかになり、原始の形態(と思われていたもの)に回帰途中のようだ、ということでこの和名が付けられました。
ちなみに学名(種小名)は採集地三重にゆかりのある天照大御神(伊勢神宮にまつられています)に由来します。
※現在は展示していません。
【飼育研究部 森滝丈也】