海底で程よく朽ちた沈木には、そこを拠り所にする魅力的な生物が見つかることがあります(沈木生物群集)。
私はこれまでに熊野灘の底引き網で採集した沈木から14種の生物を確認していて、そのうち3種が新種記載されました(チンボクヨコエビ、ヒシモチヒモムシ、シロムクペリケリス)。新種が見つかる可能性が高いので沈木を見るだけでワクワクします。
さて、今日はへんな生きもの研究所の水槽に入れた沈木の表面で、こんなカワイイ生きものに遭遇しました。
これは深海の沈木から見つかるヒラムシです。今回の個体がどのタイミングで水槽に入ってきたのか不明ですが、同じ水槽で2匹同時に見つけたので予期しない再会に少し興奮しました。
以前採集した個体をヒラムシの研究者に見てもらったことがありますが、本種はOligocladus属の一種、未記載種である可能性が高いとのことでした。新種候補ですね。
今回はそのまま展示水槽に放置していますが、体長は5mmほどなので次に会えるのはいつになるのか…
沈木の表面を探せば見つかるかもしれません。興味ある方は探してみてください。
【飼育研究部 森滝丈也】