前回の飼育日記で紹介したカコボラ(加古法螺)のカコは昔の言葉で「水夫、船乗り」を意味します。ちなみにオウムガイNautilusもギリシャ語 naus「水夫、船乗り」に由来するので、偶然、語源が同じでしたね。
さて、今回は(も?)そのオウムガイの話題。
先日の給餌の際、口(顎板)の動画が良い感じに撮影できたので紹介します。後ほど公式Xで公開予定です。
この顎板(がくばん)とはオウムガイの口にあるクチバシのような器官で、イカやタコなど頭足類に特有です。カラストンビの名で呼ばれることもあります。これを使って餌をかじります。
左側面から
正面からさらに口の中には「やすり」のような歯舌があり、餌をさらに細かく削り取ります。
歯舌はリボン状の膜の上に「歯」が規則正しく並んだ構造をしていて、これを前後に動かすことで餌を削り取ります。
歯舌は貝やイカ・タコなど軟体動物に特有な摂餌器官なので、カタツムリやウミウシ、カコボラでも同じ構造の器官が存在しますが、顎板は軟体動物の中でもイカやタコ、オウムガイなどの仲間(頭足類)にしかありません。
ちなみにこちら↓はミズダコの顎板です。
【飼育研究部 森滝丈也】