先日のお話。
私が調餌室(餌の準備をしている場所)に向かっていると、お母さんとお子さん3人のご家族が私のすぐ前を歩いていました。
もう、館内見学を済ませて帰られる様子でした。
すると、こんな会話が聞こえてきました。5歳くらいの女の子がお母さんに質問をしています。
女の子「ねえ、ねえ、お母さん。どの魚が一番好きだった?」
お母さん「ん~、そうねぇ」
女の子「私はねぇ~」
ここで、私は予想しました。ニモ(カクレクマノミ)やな。
すると予想外の答えが出たのです。
女の子「ジュゴン!」
おっ!!!!!(魚じゃなかったけど、担当者としてこれは嬉しい!)
パフォーマンスが得意なアシカやセイウチでもなく、ヨチヨチ歩きのペンギンでもなく、モフモフのラッコでもなかったのです。
女の子はジュゴンのどこを好きになってくれたのでしょうか。
ゆったりした動き?まん丸お鼻?小さな可愛い目?
現在、ジュゴンは世界で2頭しか飼育されていません。
ご存じでしたか?
1頭はオーストラリア、そしてもう1頭が鳥羽水族館のセレナなのです。
女の子がいつまでも元気なセレナに会えるように、そして多くの方にジュゴンを知っていただき、好きになってもらえるように。
身が引き締まる思いでした。
その後、私は調餌室に到着したのですが、ひとつ気になるところが・・。
お母さんは何だったのか。
「お母さんもジュゴン!」
この言葉が聞きたかったなぁ・・。
【飼育研究部 オカピ】