田んぼ水槽で、昨年種まきをしたレンゲが開花しました。
近年では、田植え前の水田にレンゲが咲いている光景はあまり見かけなくなりましたが、化学肥料が普及する以前の昭和50年代頃までは、田んぼに咲くレンゲは春の風物詩でした。
というのも、レンゲは窒素肥料のかわりになるからです。
レンゲの属ずるマメ科植物は、根に窒素分を溜める根粒を形成しますが、これは窒素固定細菌の1グループである窒素根粒細菌が根粒内で共生窒素固定を行うからです。
わかりやすく説明すると、マメ科植物の根粒のなかに生息する窒素根粒細菌は、植物が合成する光合成由来生産物のエネルギー供給を受け、空気中の窒素を還元しアンモニア態窒素にして貯留するのです。
酸化還元反応においては、還元時にはエネルギー消費が起こりますが、この消費エネルギーを植物からもらう見返りに、窒素根粒細菌は窒素を生成・固定し植物に養分提供をするのです。
この仕組みを利用したのが「田んぼのレンゲ」で、田植え前にレンゲが田んぼにすき込まれることで、その窒素分が稲の肥料として活躍するのです。
※アンモニア態窒素は、硝化細菌により酸化されて亜硝酸態窒素になり、さらに酸化されて硝酸態窒素になります。
なお、今年も、間もなく恒例の田植えシーズンですが、臨時休館中のため無観客で行うことになりそうです。